第09話|JAZZという扉が開いた日──本当のJAZZに出会いたくて

ある日 突然──

音もなく ひとつの扉が 開いた

JAZZという名の 見えない世界へ

まだ何も知らなかったのに

気づけば 音に 呑みこまれていました

そのまま 夢のような世界に 連れ去られるように──

JAZZのステージは

まるで 長い夢の続きを見ているような

不思議な感覚でした

けれど

夢のようなことばかりではありませんでした

音のまわりには いつも

言葉にならない ざわめきがありました

音を出せば出すほど

心の奥が かき乱されていくようで──

JAZZって 何?

ふれるたびに 心が ざわついて

それでも その先にある

“本当のJAZZ”に 出会いたくて──

──

そんなある日

小中学校の先輩と 偶然再会しました

「これがJAZZだと思っているでしょ?

生音のJAZZもあるから

俺のライブ 聴きにおいで」

そう言われて 足を運んだライブで

先輩と共演していた もう一人の音の人──

憧れのミュージシャンの方と 出会ったのです

私は アルトサックスの音が 苦手でした

けれど その方の音だけは

なぜか すっと 身体に入ってきました

きっと 音だけじゃなかったのだと思います

その方のまとう空気が やさしくて やわらかくて

ライブのたびに その空気にふれたくて

私は 話しかけていました

その頃の私は

音のないところで

たくさんの責任と向き合っていました

ココロも

カラダも

時間も

まるで 自分のものなのに

自分のものではないように 感じていて

日々の中で

なにかが少しずつ

摩耗していくような感覚

──

泉が枯れていたとき──

生きていていいのかな?

そんなふうに

思っていたことも ありました

でも そのとき ふと 気づいたのです

死にたくても 死ねない

なのに

生きたくても 生きられない人もいる

それは きっと

なにかに 生かされているということ

私が 生きていることに

意味があるのかもしれない

──その中で 問いが生まれました

──私は なぜ 生きているの?

──私の命は なんのためにあるの?

そんなときに

ふと ひとつの言葉が 浮かびました

“湧き出てくる音楽で、世界中をHAPPYに”

これが 私の使命なんだ──

けれど

“世界”という言葉が あまりに大きくて

ただ その音にふれるたびに

胸の奥が わずかに震えていました

*次回|第10話へつづく*

問い編の記事はこちら

→ 泉にふれる問い

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→ 音楽迷子の記憶

現在編の記事はこちら

→ JAZZ OBOEの旅の途中

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この記事を書いた人

音楽迷子を経て──
自分らしさに還る旅の途中

湧き出てくる音楽と
五感を癒す空間を感じながら

JAZZを学び
リードのまわりの小物たちをつくる日々

音と暮らしの中に
私だけのリズムを見つけていく旅

これは
JAZZとリードと
私の“泉”の記録です