第08話|泉がふたたび目を覚ますとき──息と音と、世界とひとつになる瞬間

長い沈黙のあと

少しずつ音楽の扉が開きはじめ

私は 音にふれなおしました

けれど最初は

なにかを吹くたびに ココロがざわついて

涙があふれてきました

それでも

音と向き合いなおしては

少しずつ 少しずつ

“なにか”を信じようとしていました

──

久しぶりにオーボエを吹きはじめた頃

私は 高校生の頃からお世話になっていた先生に

片付けを教えることになりました

それをきっかけに 先生のアシスタントになり

ある日 言われたのです

「イズミクリーンって屋号にしたら?」

でも 私は掃除がしたいわけではなかったので

それは嫌ですと伝えると

「じゃあ、イズミクリエイションは?」

── すごく 私らしくて いい!

こうして 私の屋号は

izumicreation に なりました

アメリカのオーボエの先生が

私にとっての“息”の意味を

教えてくれました

息とは “吸う”でも “吐く”でもなかった

息とは 世界そのものになること──

音と 空気と 私とが

はじめて ひとつに溶けあった

みんなの前で演奏していた そのとき

私はたしかに

音と 空気と 世界と──

ひとつになっていました

音楽も体も外側にあるような

演奏しているときにだけ入れる

不思議で 静かな世界

演奏を終えるといつもの私に戻り

また演奏をはじめるとそこへ入って行く

「今の泉ちゃんになら、なんでも教えられる」

そう言われた瞬間

胸の奥で 何かが 静かにほどけていきました

──

あのとき感じた

世界とつながる 音の感覚

それは 音楽の技術ではなく

もっと根源的な「命の流れ」とも呼べるようなものでした

あの場所で もう一度 音楽ができるようになりたい──

そう願って あの不思議な体験のことを 少しずつ調べはじめました

──

すると

私の中の泉が

ふたたび 静かに 動き出していたのです

*次回|第9話へつづく*

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→ 泉にふれる問い

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→ 音楽迷子の記憶

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→ JAZZ OBOEの旅の途中

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この記事を書いた人

音楽迷子を経て──
自分らしさに還る旅の途中

湧き出てくる音楽と
五感を癒す空間を感じながら

JAZZを学び
リードのまわりの小物たちをつくる日々

音と暮らしの中に
私だけのリズムを見つけていく旅

これは
JAZZとリードと
私の“泉”の記録です