第04話|テディベアの街で、音楽が教えてくれたこと──ことばを超えてつながった瞬間

オーボエを中心とした毎日に

いつしか慣れていった頃──

新たな経験が 私を待っていました

高校2年の春休み

オーケストラの演奏旅行で ドイツへ行くことになりました

私が参加していたジュニアオーケストラは

年下でも上手な子が多く

どこかで違和感を感じながらも

一緒に 演奏をしていました

でもやっぱり つらくなって

練習をサボっていたら

先生の奥さまから 電話がありました

「主役が来ないってどういうことですか!?」

母が 私の代わりに 叱られてくれました

──私が 主役!?──

私はもちろん

電話を受けた母も 驚いていました 

ちょうどその頃

私は《19(ジューク)》というアーティストが好きで

「音楽」という曲をよく口ずさんでいました 

♪ 音楽で話そう 言葉なんて追い越してさぁ…

この地球(ほし)の音楽(ことば)で…

──

ドイツでの最初の演奏会場は

テディベアのふるさと・ギーンゲン

このとき吹いていたのは

久しぶりの ジャーマンスタイルのリードでした

ギーンゲンの街は

本当におとぎの国のような街で

夢みたいに可愛くて

まるで物語の中に迷い込んだようでした

シュタイフ社の

テディベア工場の見学もありました

でも──

テディベアたちは想像以上に固くて

ちょっとびっくり

うさぎやサメのぬいぐるみもあったけれど

私の大好きなうさぎも、手足が長すぎて ちょっと──

そんな中

やっと見つけたのです──

柔らかくて、しっくりくる

「この子しかいない」と思える

私のお気に入りの子に♡

── 

そしてドイツでの

初めての演奏会のリハーサルで

現地のエキストラで参加してくださっていた

オーボエ奏者の方が 私に何かを伝えようとしていました

けれど 言葉がわからず

私は ただ困っているだけ

するとその方は

吹いてくれました──

言葉ではない 音で

すべてを教えてくれたのです

私は そのひと吹きで すべてが伝わってきたことに

ただ 驚いていました

──本当だったんだ── 

音楽は ことばを超えてつながるもの

そう教えてくれたのは

ドイツのオーボエ奏者の たったひと吹きの音でした

──

現地で一緒に演奏してくれた

オーボエ奏者の家に

私はホームステイしていました

日本人だからと

バスタブのあるお風呂を使わせてくれたり

言葉は通じなくても

一生懸命 笑わせてくれたり──

本当に あたたかくて

たのしい時間でした

── 

でも 家を出発したあと

私は ずっと 泣いていました

もう 一生会えないと思っていたから 

それくらい

心に残る経験だったのだと思います

けれど──

次の演奏会場に着いたとき

なんと 彼はそこでも

エキストラとして 演奏していて

私は また会えたことに

びっくりして

うれしくて

もう一度 泣いてしまいました

──

当時の私は

大学に行くなんて考えてもいなくて

将来の夢は「大好きな人のお嫁さんになること」でした

けれど

周りはみんな 大学に進学するのが当たり前で

そんな環境の中で

少しずつ 心の中に芽生えていったのです

──本当にやりたい音楽を 見つけるために大学に行こう と

*次回|第5話へつづく*

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→ 音楽迷子の記憶

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→ JAZZ OBOEの旅の途中

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この記事を書いた人

音楽迷子を経て──
自分らしさに還る旅の途中

湧き出てくる音楽と
五感を癒す空間を感じながら

JAZZを学び
リードのまわりの小物たちをつくる日々

音と暮らしの中に
私だけのリズムを見つけていく旅

これは
JAZZとリードと
私の“泉”の記録です