長い沈黙のあと
少しずつ音楽の扉が開きはじめ
私は 音にふれなおしました
けれど最初は
なにかを吹くたびに ココロがざわついて
涙があふれてきました
それでも
音と向き合いなおしては
少しずつ 少しずつ
“なにか”を信じようとしていました
──
久しぶりにオーボエを吹きはじめた頃
私は 高校生の頃からお世話になっていた先生に
片付けを教えることになりました
それをきっかけに 先生のアシスタントになり
ある日 言われたのです
「イズミクリーンって屋号にしたら?」
でも 私は掃除がしたいわけではなかったので
それは嫌ですと伝えると
「じゃあ、イズミクリエイションは?」
── すごく 私らしくて いい!
こうして 私の屋号は
izumicreation に なりました

アメリカのオーボエの先生が
私にとっての“息”の意味を
教えてくれました
息とは “吸う”でも “吐く”でもなかった
息とは 世界そのものになること──
音と 空気と 私とが
はじめて ひとつに溶けあった
みんなの前で演奏していた そのとき
私はたしかに
音と 空気と 世界と──
ひとつになっていました
音楽も体も外側にあるような
演奏しているときにだけ入れる
不思議で 静かな世界
演奏を終えるといつもの私に戻り
また演奏をはじめるとそこへ入って行く
「今の泉ちゃんになら、なんでも教えられる」
そう言われた瞬間
胸の奥で 何かが 静かにほどけていきました
──
あのとき感じた
世界とつながる 音の感覚
それは 音楽の技術ではなく
もっと根源的な「命の流れ」とも呼べるようなものでした
あの場所で もう一度 音楽ができるようになりたい──
そう願って あの不思議な体験のことを 少しずつ調べはじめました
──
すると
私の中の泉が
ふたたび 静かに 動き出していたのです
